おでかけ

弟くんと山を散歩する2

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山に入ると、まだ土が湿っていた。

雨が前々日に降っていて、前日も天気は曇りと小雨。

歩けない程ではないけど、靴が汚れるかもなぁ・・とぼんやり思った。

地面が土だと、なんだかテンションが上がる。

石とかも少なくて、歩きやすい。

道の前に水が、チロチロと流れて横切っている。「川になってるよ!」弟くんが興奮気味。

雨の後だからなんだろうなぁ、と思う。

街中で暮らしていると、前の日が雨だろうが曇りだろうが、さほど変わらないけど、山だと全然違う。

こうやってたまった雨水が流れてたり。

おじさんが降りてくる。

今日初めてすれ違う人。

すれ違う時にあいさつしないと!って思い、おじさんを視界のはじっこで確認していると・・・。

立ち止まって、道の横にあった亀の子タワシみたいなので靴を磨き始めた。

それを見て、なぜか衝撃を受ける。

山道すごい・・・!

一瞬で理解した!

登山の人のための亀の子タワシが山に常備されているなんて。

きっと誰かが、どろがついた靴を洗うために使って、置いていったやつなんだろうけど、それを他の人も利用する。

ハイカー同士の、交流!会う事はなくても、お互いの力になっている。

私も降りる時は絶対あそこで靴を洗う!!!

そう心に決めた。

仲間になった感じがする。

思ったよりも地面がぬかるんでいて、不安がよぎる。

ズルっと足を持っていかれて、転ぶのも嫌だけど、滑落が怖い。

なるべく山側を歩いて進む。

ひたすら歩く。

歩いて行くと、やはり気になるコケ。激写しながら進む。

弟くんは私を待って、ちょいちょい止まってくれる。常に少し前を歩いている感じ。

そんな弟くんが、急に止まって私が追い付くのを待っていた。

不安そうにしている。

「どしたの?」「しっ・・・」

何かが聞こえるようです。

グルァ・・グルァ・・

私にも聞こえるけど、なんでそんなに怖がっているのか?「鳥かな?変わった声だね」「くまだよ・・」「え?」

クマ!

「えっ熊なわけないじゃん」

そう言ったものの、ここ、山。→熊は山にいる。

ちょっと暖かくなってきてる。→お腹すいた熊。

熊の鳴き声聞いた事ない。→弟くんはいろんな動画見てて、ママより詳しい。

!?

え、そうなの?熊なの?これ熊なの???

ママ、プチパニック

確かに、ニュースにある熊に襲われる人だって、いつも襲われてるわけじゃなくて、「その時」だけ襲われてる訳で。

今日が私たちの「その時」って事?

いやいやいや・・・

そんな馬鹿な!

落ち着こう。

落ち着いて考えよう、今までこの山で熊出たってニュース見た事ある?検索して見よう。

・・・圏外って!

ほら熊って違うでしょだったとしても小熊でしょ、きっとそうだよ。

「引き返そう・・・!」

えっ、ここに来てまさかの弟くんから帰ろうとか。

「待って待って、違うって。熊出るとか聞いた事ないし」

でも動くのもなんとなく怖くて棒立ち状態。

「熊じゃないよカエルじゃない?」そう、カエルな気がする。

「熊、こんな鳴き続けないでしょ」そう、私いいこと言った。

熊だったら鳴き続ける事はないはず。

「・・・」

弟くんの答えを待つ。弟くんの方がこういう事は詳しい。熊ではないと思うけど、弟くんも納得の上で否定したい所。

「・・・」

いや、熊じゃないでしょ・・・。こんなでかいリュック持ってきて、むっちゃヤル気でカメラまで持ってきて、熊と遭遇とか、ナイナイヤダ。

「・・・そうだね、熊じゃないね。うんうん。違う違う。」

弟くんも否定してくれた。「ね、行こう。」心とは裏腹に、なんでもない風に弟くんを引っ張っていく。

やっぱ山怖い。

▼弟くんが恐怖した声がコチラ。たぶんカエル。

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