兄くんは、きれいな石が好きです。
子供はみんな好きかと思います。
だけど兄くんは、気持ち他の人よりきれいな石が好きです。
キレイなガラス瓶も好きです。
落ちている破片も好きです。
破片は、時が経っていて角が丸くなっているのならいいのですが、
たまに尖ってるのを見つけて拾ってしまうもんだから、
ママは気が気ではありませんでした。
そんな兄くんは今年、小学校高学年になりました。
いまだにキレイな石を拾うのが大好きです。
弟くんは石に特別興味がないので、やっぱり兄くんは特別キレイな石が好きな子なんだなって改めて思います。
Contents
石のお店でとどまる
ショッピングモールの中にあるストーンショップ。
兄くんはそういうお店の前で止まります。
原石を眺めては、
「これ買わん?」と聞いてくる。
加工したアクセサリーよりも、石そのものが好きみたいです。
それなのに、石を買ってあげたことがない。
誕生日プレゼントに、と思っても、誕生日プレゼントはゲーム関係のものにどうしてもなってしまう。
本人に聞いても、「課金してー」という始末。
石を見つけに行こう!
どういうきっかけでかは覚えてないけれど、
ネットを見ていたら鉱石はその辺に落ちている、というような情報に出会いました。
(面白そう)
そう思ったママは調べ始めます。
鉱山跡で、見つける事が出来るようです。
鉱山跡のポイントが全くないような都道府県もあれば、沢山ある所もあるようです。
行けそうな所で調べます。
ただ、◯◯鉱山跡という名称はあるけど、住所が無い。どこもそうです。
鉱山は山なので、山のどこかと言うことになり、範囲が広くて探すのは難しそう。
看板でも有ればいいんだけど…
よくわからないまま向かって何もないのは厳しいのものの、行く以外他に方法が無いので、ドライブがてら行って見ることにしました。
一度だけ、ルート修正をしたけど、
有名な鉱山跡地のようで、ポイントに近づくと看板に方角が示されるようになり、助かりました。
有名どころでもこうなのだから、無名な鉱山跡地は今後も厳しいな、と向かいながらに思います。
一時間以上かけてのドライブ。
兄くんは枕持参で寝ています。
弟くんはwifi持参で動画観賞です。
ドラえもんを模擬したようなキャラクターでブラックなショートストーリーを繰り広げるyoutubeチャンネルでした。
明らかにドラえもんなんだけど、ああいうのは違反だったりにはならないんだろうか・・・?絶対無許可だと思うし、たとえ許可があったとしてもママ的にはドラえもんのイメージが崩れるので見たいと思わない。
耳から聞こえてくるストーリーは確かに子供が好きそうな、程よいブラック加減のストーリー。
こういうのを本物と同じと思ってしまう子どもがいない事を祈りながら・・・。
山の中の奥へ
舗装された山道を道なりにのぼっていく。
対向車がくると若干あせってしまう車幅です。
鉱山跡の駐車場、というものはないので、少し遠くに停めてから、歩いて向かいます。
舗装された道から山の中へ入る入口には、きちんと看板があった。
・・・あったけど、道がない・・・?笑。
よく見て見ると、あ、道かな?って思える道がある。
でもずっと誰も通っていない様に見えます。
まだ夏と言えるので、草の伸び方が尋常じゃなかった、という可能性もあるけど、どうなんだろう。
とりあえず進む。
草に隠れて、鉱山跡地っぽい石が道路わきに並んでいる。
道のしるしなんでしょう。
石を見て、テンションが上がりつつ、進む。
小雨が降っていたけど誰も気にしません。
蜘蛛の巣トラップにおびえながら、胸まで生えた草むらをかき分けながら、
ドリカムのあの名曲に出てくる、ぐんぐん進む背中の人はかなりの勇者であると思った。
体にまとわりついた蜘蛛の巣をはたきながら、正直何度も帰りたいと思いました。
だけど、ここまで来るのに費やした時間、ガソリン、色んな事を考えてもうちょっと頑張ってみようと思います。
途中、トトロが持ってそうなはっぱのミニチュア版を見つける。
かわいい。
ちょっとした癒しに。
足元を見ながら進む。
きれいな石を見つける!
草むらの先は少し開けていた。
少しだけ安心する。
足元を見ながら進んで行くと、真っ白な石がありました。
すごくきれいだ。
カメラで撮ったのを見ると、余計に白く見えた。
探してみると沢山落ちている。
真っ白じゃない石もあって、見ていてとても楽しい。
兄くんがここで目覚め、色んな石を探し出す。
「もう少し奥にも行ってみよう」
兄くんの号令で進んでいく。
奥は、とてもきれいな沼地になっていた。
小さい滝もある。
だけどそこに辿り着くまでには、大きな壁があった。
「ヘドロ状の足元」である!
サンダルの行方
しばらく雨の日が続いていた上に、
この日も小雨が降っていた。
天気がいい日はもっとマシなのかもしれない。
ただの水たまりならいい。
だけど、下の方がヘドロなもんだから、足が取られる。
沈んでいく。
最初は服が汚れて、それが残念というか、しまった、って思う程度だったけど、
思ったよりも沈むもんだから、服なんかどうでもよくなって恐怖を覚えた。
このまま底なし沼みたいに沈んだらどうしよう!って。
その恐怖が雰囲気にでてしまったのか、一瞬、兄くんと弟くんの表情が凍りついてしまった。
すぐ様、「大丈夫大丈夫!」取りつくろった。
本来、鉱山あとは本当はとても危険な場所。
今回行ったところは、有名な所で立ち入り禁止にもなっていない所だけど、それでも万が一沼に落ちてしまっては命は無いと思う。
油断してしまったと反省し、気を引き締める。
弟くんが、ママの変わりに小さい滝の写真を撮りに行くと言ってくれた。
任せて見たものの、弟くんもヘドロの沈みっぷりに驚き焦ってすぐ引き返してきた。
裸足で。
「!?サンダルは??笑」
ついさっきまで履いていたサンダルを履いていない。
ヘドロに取られてしまったらしい。
すぐさまママの足で水たまりの中を探す。
不透明な水な上、ヘドロの感触が気持ち悪い。重い。
何か引っかかったと思ったら木の根っこ。
弟くんの足取り上をまさぐってみて、1つは見つかったけど、もう片方がどうしても見つからない。
ママはなんだかイライラしてしまって、「なんで脱いだの?」なんて嫌味を言ってしまった。わざと脱いだ訳でもないし、行こうとしたのはママの希望を叶える為だったのに。
しばらく探してもないので、一旦水のにごりが消えるのを待つ事にした。
サンダル探しですっかり汚れてしまった足は、沈みなんて気にせず沼の近くまで来れた。
弟くんは片足だったので、サンダルを見失った辺りで待つ事になった。
距離としては3メートルも離れてないくらいだが、不安らしく、表情は曇っていた。
滝の横の、更に小さな滝というか、水の流れ。
苔も生えているし、赤い石もある。何なんだろう。
完全なる癒しスポットである。
鉱山跡という事と、小雨が降っているという事、ヘドロにサンダルが取られたこと、ヘビが出たこと、イライラしてしまったこと。
関係あるかわからないけど、
沼周辺はなんだかとても嫌な雰囲気だった。
この小滝も少し遠くからズームして撮った。近づきたくなかった。
兄くんにも、あんまり近づかないように、と言って制した。
嫌な予感がする所には近づかないのが念のため。
絶壁だったので、何か落ちて来ても危ない。
沼近くはキレイな石が多かったので、兄くんは石を集めたがったけど、早めに戻るようにした。
弟くんが待っている。
「水、キレイになったよ」
確かにキレイになって、透明な水が上にあるのがわかる、けど足を入れた瞬間にすっかり泥水だ。
再びサンダルを探してみるけど、やっぱりなかった。
腕を入れる訳にはいかないので、足で探すけどない。引っかかるのはやっぱり木の根っこ。
弟くんが片足しかサンダルがないのでどうしようかと迷ったけど、
サンダルは捨てて帰ることにする。
これはもう見つからないだろう。
まだ新しいサンダルだったけど、しょうがない。
弟くんはサンダル片足で帰ることになってしまった。
帰り道
弟くんは「いたっ」なんて声をあげながら進んでいた。
途中、来る時にも目が行った木を撮った。
木の根元にびっしり生え集まるコケ。
コケブログはすっかり更新しなくなってしまったけど、コケは大好き。
根元が一番いい環境なのかな?きっと強い日差しも避けれるし、葉っぱから雨水が時間差で落ちてきたりするのかな。
足場が悪くなってきて、弟くんの足を心配した。
「おんぶするよ」
そう言って弟くんを呼ぶ。
「だいじょぶ」
弟くんは断った。
さっきまで発していた小さな悲鳴も出さなくなった。
石があたって痛いだろうに。
意地を張っているように見えたので、あえて何も言わなかった。
この程度の地面は、ママが子供の頃は普通に裸足で歩いていた。ケガをするような地面でもない。だけど、変な虫に刺されたら、とか、ガラスの破片が落ちていたりしたら、とか心配してしまう。
山の道から舗装された道路へ出る。
弟くんはやりきったような顔をしてアスファルトの上を歩きだした。
もしこのタイミングで、誰とすれ違ったら、なんと思われるだろう?
小雨の中、傘もささずに、一人の子供は片足が裸足なのである。
きっと今回の事もずっと記憶に残る日になるな、と思ったママなのでした。