冬の公園に行ってきました。
兄くんとふたりきりです。
買い物に行った帰り、いつもと違う公園の姿に引き寄せられたのです。
秋の紅葉の季節は過ぎていましたが、まだ残っている赤い葉っぱ。
はっきりした黄色い葉。
花の様な「何か」も見えた。
こんな季節に何が咲いてるんだろう?
椿も咲いているのが見えました。
実は買い物中に、焼きいもを2つ買っていました。
弟くんのも買おうかなやんだけど、弟くんは好き嫌いが激しくて、焼き芋もたべるかわからなかったのと、好みの変化もはやくて、こないだまで好物だったものを食べなくなることも多々。
家に着く頃には冷めてるだろうし、「何これ食わん」って弟くんに言われたりするのも嫌だった。
「ちょっと公園よってかん?」
焼き芋を公園で食べたい!
みかんの飴かったら帰るんだ、ってずっと言っていたので、絶対に嫌だと言うかと思っていたのに、
「いいよ!」
と思った以上に楽しそうな声が返って来た。
「おれは今きげんがいい」
一体何があったのか・・・。
「焼き芋うめえ」
焼き芋が美味しくてご機嫌らしい。
ってもう食べてるのか!
駐車場に入り、降りる。
兄くんの焼き芋はもうないので、ママの焼き芋だけを持って行く。
「そうとう美味しいよ」
皮をむくと、甘くてしっとりした中身が姿を現わします。
口に入れる前からわかる、
「こりゃ絶対美味い」
「うまいよ!」
兄くんが嬉しそうに教えてくれた。
「あの木見に行こう!」
椿の花だ。
焼き芋を食べながら兄くんを誘導する。
ピンクでかわいい。茶色く枯れている部分がある花もあるけど、きれいだ。
写真に撮る。
空が曇り空だったから、あまりきれいな写真じゃないかもしれないけど、ママは満足だ。
次に、赤い葉っぱがついた木の所へ。
葉っぱは、ほとんど落ちて無くなっているけど、まだ残っている部分だけでもきれい。
「別行動って事にしようぜ、飽きたら車帰るんで」
「うん」
兄くんは奥の方に行ってしまった。小川が流れているのだ。
落ち葉のじゅうたんも魅力的だ。
目の前の木には葉っぱだけでなく、黒い何かも付いていた。
これは、エビの家?になる実?ではないか。
ちくちくして痛い。
一通り木の写真を撮って、兄くんを探しにいく。と言っても行き場所は分かっている。小川の方だ。
散歩する人達とすれ違う。
小川の方に、兄くんの後ろ姿が見える。
温かい時期にいるカニやエビはさすがに居ないと思う。
ママが近づくと、ママの振動で小さな魚達が動いた。
「魚おるやん」
「メダカやろ」
メダカでは嬉しがらない年頃になってしまったようだ。
この小川では、弟くんと三人で葉っぱ船レースをした思い出がある。
兄くんが覚えているか聞いてみる。
「おぼえとうよ」
よかった、覚えていてくれているようだ。
ママにとっては少し前の事に感じるけど、兄くんにとっては凄く昔のはずだ。
小川探検が進むと、ママはメダカではない、少し丸くて足がいっぱいある何かを見た。
「なんかいる!」
それはママの振動に驚いて、まわりのメダカと共に岩場にひっつくように隠れた。
「どれ、おれに見せて、おれが見る」
兄くんが手に長い枝を持って近づいてくる。
兄くんは小さい頃から、落ちている枝を持って小川の中をつついたり、木を叩いたりして冒険していた。
もう手のひらはママより大きい。
こんな姿を見るのもそろそろ最後なのかな、と思うとなんだか胸が熱くなってくる。
「何か」は兄くんにまかせて、ママは他を探す。
魚だけではなくて、どんぐりの実らしきものが沢山落ちている。
水っていうのはほんとに魅力的。
水の中の自然のオブジェを眺めていると、兄くんが「何か」の正体を見破った。
「エビや!」
エビ!?
「ちゃいろいエビの子供や!」
本当かはわからないけど、そういう事にしよう!
ママ達の中では解決だ。
途中、隆起した地面を見つけます。
木の根が盛り上げているのです。
自然の力ってすごい。
落ちている実もかわいいです。
何の実かわからないけど、近くにこんなものがありました。
実はしおれている・・・!?
小川探検を終え、ママが運転中に見た花のような「何か」を探しに行くことになりました。
「花みたいなやつさがしにいこうぜ!」
「わかった!いいぜ!」
二人とも妙なテンションです。
場の空気を荒らす弟くんがいないからということもあります。
「ちょっと暴れていい?」
そう言うと、手に持つ木の棒で木と戦い始めます。
「周りに気をつけてね」
ママの釘。
兄くんはたまに周りが見えなくなるので、万が一周りに人がいてぶつかったりしたらいけません、注意します。
ママが先に進むと、気が済んだのか木を殴るのを止めて付いてきます。
柵があって近づけないので、カメラ機能のズームで確認。
葉っぱか花か。
撮りたかった赤いものにピントが合っておらず。
撮った写真を見て兄くんと協議開始。
「これは葉っぱだな・・・!」
葉っぱで決定!!
続いて水がたまった所に行きます。
「絶対なんかいる!」
「まさか~居る訳ないでしょう~」
って居た~!
でっかいの居た~!
「ザリガニや~」
しかも良く見ると沢山います。ここで冬をすごすんでしょうか。
結構深いので、下の方は温かいのかもしれません。
「こいつ脱皮途中じゃね?」
「なんか上の方が透明に見えるね!」
興奮気味に観察を始めます。
沢山いるザリガニを一匹一匹チェックして進んで、駐車場へ向かう我々。
「そろそろ帰ろうかー」
「うん、帰るかー」
弟くんがいると、必ず機嫌が悪くなるママか兄くんなので、こんな平和な散歩は珍しいです。
また来たいなー、思ったけど、きっとこういう散歩にはもう来れない気がしました。
家に帰ると、弟くんが「おやつは?」と買い物袋を漁ってきます。
「カプリコあるよ、一個は兄くんのだからね」
「一個しかない」
おかしいな、と思っていると、
「おれ車で食ったよ」
と兄くんの声が・・・
焼き芋も車の中で食べてしまってたし、ほんと食べるのが早い兄くんでした。